報知新聞釣り欄「魚心」から:昭和56年2月8 

友人のエサで優勝

 フト気が付いたことだが、私が徳島から大阪へ出かけるのは、大体年2回のようだ。1月の報知APG新年総会と、5月のアユ報告会と。確かに半年ごとの大阪は、便利に、スマートになっているが、田舎者の私にはついて行けない感じで、必ず何かしらドジを踏む。

 今年の新年総会の帰りもそうだった。大阪港まで地下鉄に乗り、自動キップでまさに出札口から足を踏み出そうとしたら、「バタンッ」と通せんぼされてしまった。ハッとした次の瞬間、ピーポーピーポーとブザーが響くではないか。大勢の人にジロジロ見つめられて体裁の悪いことこの上ない。
 まさかキップをごまかしたわけでもないのに、、、と早速係員にクレームをつけたら、やおら、私のキップを見て、「これは50円払いすぎでんなぁ。それに、違う線のキップ買うてますワ」と冷静そのもの。
 「ほんなら通ってよろしいのか」
 「どうぞ通っとくんなはれ。そやけど、払い戻しは出来まへんでぇ」
 ーーつまるとこと、私は余分の金を払って、赤恥をかいて、釣り銭さえ戻して貰えないという割の合わないドジを踏んでしまったのだ。
 この場合は、私の不注意によるものだが、、世の中、必ずしも余分にしすぎて良い結果が出るとは限らない。

 1日、和田島でアブラメ釣り大会があった。3時間で32aを頭に35尾も釣って優勝したOさんは、その朝エサのマムシを忘れて、友人からほんのちょっぴりおすそわけをしてもらっただけ。1匹のエサで何尾ものアブラメを釣って節約していたが、終了半時間前にはエサ切れしてしまったという。
 その上、Oさんが使ったハリスは3号という太さ。ところが、食いの悪いアブラメを何とか騙そうと1.5号を使ったMさんはビリになっていた。

 よく考えてみたら、グレ釣りでも、沖アミは余り撒きすぎると却って釣れないときがある。エサの大部分はエサ取りに食わせてやり、グレの本命ポイントへはごくわずかずつ撒いた方が効果があるようだ。 
 金にあかして、むちゃくちゃに撒くのは考えもの。どちらかといえば、「過ぎたるは及ばざるがごとし」というケースの方が多いのではないだろうか。もちろん、すべては「適正」に越したことはないのだが、、、。
 地下鉄でストップを食らったことから話はいささか飛躍した感じだが、これ今週の所感。                (報知APG・高橋 康生)

筆者からひとこと: 東京への回数は、3年に一度くらい。つい最近、東京新宿で開かれたある新年総会に参加した時の話。2カ所で地下鉄を乗り継ぎ、3回目の駅で出札口を出た。すると、今までと違った色と形をしたキップが出てきた。それを掴んで2、3歩出たとたん、後ろの中年紳士に声を掛けられた。「お父さん、お父さん。それ私の定期券ですヨ。」