報知新聞/昭和63年4月22日(金)
どじヴェンチャー・ニュージーランド(5)
クック海峡でブルーコッド入れ食い
2月といえば、ニュージーランドは夏だというのに、ことしくkらい寒い思いをしたことはない。要したTシャツや短パンはとうとう着ずじまい。
それに風も強かった。強いというより、台風並みの感じ。国道を走っていても、私たちの運バンは何度もハンドルを取られた。道行く人たちの髪の毛は総立ちで、手のほどこしようもない。
運悪く、ちょうどそんな風が吹き荒れている最中に、マルボローサンウンド沖へ船釣りに出かけることになった。船はピクトンから出る。南島と北島を結ぶフェリーが出る港だ。
私たちの船は「パメラ号」というしゃれた船だった。6人が乗ってもゆったりしている。船長はピーターという初老の気のよさそうなオーストラリア人。だが困ったことに、言葉が充分聞き取れない。
さて出発した。ところが5分もせぬうちに、Uターン。「ガソリンが入っとらんわ」だと。大丈夫なのかな?この人。でも、ひょっとしたら、このおうようさがこの国では当たり前であって、われわれ日本人がイラチすぎるのかも知れない。
南島での海釣り場として最も有名なこのマルボローサンウンドは、ミルフォードサウンドと同じく、沿岸部がまるでクシのの歯のように出入りが激しく、無数の島が点在する。いかにも魚たちのすみかにふさわしい環境だ。
「どんな魚が釣れるの?」とピーターに聞いたら、「ブルーコッドや」との答え。辞書を引いたら、「鱈(たら)」と出てきたが、その種類はすごく多い。はたしてどんな魚だろうか。
港を出て約1時間半。船は、とある島陰で泊まった。
「今日は正午がジアイや。それまでここらで釣ってみようか。ちょっと小さいけど」とピーター。
水深20bほどのところへ仕掛けを落とす。20号のオモリに針を3本付けた胴付き仕掛けだが、オモリが底に着かないうちに早くもアタリ。クネクネという感じで上がってきたのは、まさしくブルーコッド。しかも連だ。
写真は、40a近いブルー・コッド。アブラメに酷似。よく引く。
大きさは30aほど。ちょうどアブラメに似た色と形だが、見る角度でブルーに光る。こいつが入れ食いになった。誰かが竿をしならせている。
連は珍しくない。3連で釣れたこともあった。ただし、最高が40a。中には30aを切るものも混じる。2時間も釣らぬうちに、持参した二つの大型クーラーは一杯になった。
(報知APG・高橋 康生)
筆者から一言:
地理的には、なにか大物が釣れるような期待を持っていたのですが、全くの勘違いでした。そのことを、ピーターに言ったら、
「お天気がよければ、こんな島陰でなく、もっと沖へ出られたのに、、、」とのこと。
「言葉は分かりにくかった」と、モテルに返ってローズマリーに報告したら、「もう。あれだけ言ってあったのに」と彼女。
でも彼の言葉の中で、一つだけきれいな英語がありました。beautiful というところを fabulous と言ったのです。この言葉、いまでも私の頭に残っています。