徳島新聞/昭和62年5月9日

ニュージーランド・南島ところどころ(3)

レンタカー、何で日本車にしないの?

 外国での観光地巡り。交通手段はいくつかあるが、私たちはいつも小回りのきくレンタカーを使っている。昨年は6人と大勢だったので、マツダのボンゴにした。今年は4人だったので、張り込んでオーストラリアのホールデン「ベルリーナ」という高級ワゴンにした。ちょっとばかり外車に乗る気分も味わいたかったし、エアコン付きというのも必要だと思ったからだ。
 ところがこの車、初日かららじえーたーの水がオーバーフロー。それだけではない。運転席側のキーがすんなり開かないのだ。仕方なく助手席側をあけて、内側からロックを外すという厄介な代物だった。主あけにドアはバシャッと閉まらない。窓ガラスは開閉がきつい。まだあった。300`を走破して、ワナカという湖の町へ入る直前、ハンドルのクラクションカバーが外れてしまうお粗末さだ。

 それが極限に達したのが、天下の絶景、ミルフォードサウンドへの道中だった。ここへの道は、テアナウという町を起点とする。その間、120`だというのに、家らしい家は一軒もない。つまり、そんな山の中では、どんな事故も故障も許されない。もし起こしたら、一日棒に振るくらいの覚悟は必要だ。
 この日は、ガソリンが足りないことばかり気にしていたら、なんとあと5,6`のところでオーバーヒート。祈るような気持ちで運転したら、何とか集落まで辿りついた。それも運良く一軒しかないガソリンスタンドの前で。しかも車も、エンジンも止まってしまうという「危機一髪」の状態で。

 ボンネットから吹き出す白い蒸気。集まってきた観光客から口々に言われてしまった。
 「何で日本車に乗らないの?」
 「日本車なら、こんなこと絶対起こらないのにー」 
                                     (高橋 康生)
 
筆者から一言:
 120`の間、何もないような場所があるかと思えば、観光地の看板もないような場所に、ペンギンや、アホウドリや、アザラシと会えるポイントが点在します。この写真は、野生のアザラシですが、そばまで行っても、いやがる風もありません。常に接する人々がやさしいのでしょうね。