報知新聞・魚心/昭和61年5月6日
ニュージーランド 人と魚と(6)
日本なら「大漁」、ここでは「ゼロ」
オークランドから北へ300`。海釣りで有名なベイ・オブ・アイランドで、ヒラマサを狙うのがわれわれの最終日程として組み込まれたいた。
基地はパイヒアという小さな町。人口は2000人ほどと聞いた。小さな町といっても、立派なリゾート。ずらりとモテルが立ち並んでいる。私たちのモテルは、タウポ湖のときと同じ名前のベイ・ビュー・モテル。
事務所にはおじさんが一人。ひどく愛想がいい。
「ハロー ディァー」
会ったとたん、もう何年もつきあっているような気安さである。
部屋の案内、風呂場(小さな野外温泉だが)の説明、観光の助言など、何くれとなく実に親切に、微に入り細にわたり、一所懸命に説明してくれる。額には、汗さえにじみ出ているのだ。
ただ困ったのは、そのシャベリ方がまるで機関銃でも撃っているような超スピードなのだ。
「お願い。もう少しゆっくりシャベってもらえないかなぁ。英語はあまり慣れていないんでねぇ。」と頼むと、
「わかった、わかった。悪かったねぇ」
そして、なんと一分後には、元と全く変わらない速さに返ってしまうのだ。
どうやら、このモテルの管理はこのおじさん一人がやっているようだ。としたら、忙しいのは当たり前。早口にならざるを得ないのだろう。
ついでに、海岸から何か釣れないか、と聞いてっみた。
「スナッパーなら、いくらでも釣れるさ」
スナッパーは、日本でいうタイのこと。
「ポイントは、あの岬から向こうへ数えて、3本目の松の木周辺がよろしい」とかなり釣りにも関心を持っているようだ。
さて釣り場は、目と鼻の先。日本から持参したキス投げ釣り仕掛けをそのまま使ってみた。
投げる。まるで待ちかまえていたようにすぐアタリ。竿先が振るえる。引き上げて見ると、これがまごうことなきタイなのだが、、、。
日本でなら25aといえば立派なタイ。でもここでは25a以下はリリース・サイズなのだ。針の数だけ食いつくから、結構おもしろいのだが、どれもこれも25a以下。仕方なく、われわれは早々に諦めた。
写真は、50−a級シマアジのナブラ
諦めた理由は他にもある。ニュージーランドはサマータイムを採用しているので、日が暮れるのが8時過ぎ。その明るい間に、人間様の血を吸いに来る悪いヤツがいたのだ。その名は「サンド・フライ」。ハイよりは小さいが、蚊よりは大きい。手に負えないのは、咬まれた後がブトのようにかゆい。半ズボンとTシャツというわれわれは格好の標的となったからだ。
(報知APG・高橋 康生)
筆者から一言:翌日から、いよいよこの旅のハイライト、ベイ・オブ・アイランドでのヒラマサ釣りが始まります。正直申し上げて、ジグによるヒラマサは一尾しか釣れませんでした。「労多くして、効少なし」の典型ともいえるジグ釣りが、これでいやになりました。どういう訳か、そのことを記載した次回(7)の原稿が紛失しました。で、次回は(8)のシマアジつりに飛びますが、これがまた、今までに体験したようなスゴイ釣りでした。シマアジのナブラのご紹介です。