報知新聞・魚心/昭和61年4月15日

ニュージーランド 人と魚と(4)

タウポ湖でのニジマス釣りー2

 タウポ湖での初日、8時間の釣りが徒労に終わったことについて、ガイドであるピーターの気の毒がりようは、こちらの方が却って気の毒になるくらいだった。
 「明日の朝、僕らのボートに乗ってもらえまいか。船釣りだったら、必ず釣らすじしんがあるから。もちろん、船賃なんかいらないから」
 私たちは、ピーターたちの行為をありがたくお受けすることにした。そのかわりその夜、レストラン「マヌエル」での夕食に二人を招待することにした。

 午後7時、私たちはレストランの前で彼らを待った。5分前に、一人の若い紳士がもんを区kぐった。黒のスーツに蝶ネクタイがよく似合う。家内などはボーと見つめてしまう始末だ。
 なんとこれがマークだった。少し遅れてきたピーターもめかし込んでいる。釣りの装いからは想像も出来ない姿だ。ちょっとした気遣いで、これだけ変身できたら楽しいだろう。
 そのよるはの食事は大いに飲み、大いに語り、大いに楽しんだ。タウポで一、二を争う高級レストランでたっぷり2時間あまりを過ごして、感情がなんと320j。つまり一人前にして4000円。日本ではちょっと考えられない数字だ。

 翌朝は午前6時にモテルまで迎えに来てくれた。船着き場までは5分と掛からない。一行は、二組に別れて、ピーターとマークの船に乗り込んだ。
 早朝のタウポの景色はすばらしかった。すべてが静か、すべてが広々、すべてがクリーン。そんな中をルアーでトローリング。釣り方hあロトルア湖の場合と同じだが、違うのは船の広さ、のんびりさ。それに午前6時というジアイがいい。釣り初めてまもなくアタリがあった。フィッシュ・オン。だが、トローリングのテグスの長さは200b。リールを巻き取るだけでも大変だ。魚を掛けた者はまだいいとして、あとの二人はお祭り(テグスの絡み)を防ぐため全部巻き取ってしまわねばならない。これが日本なら、とっくの昔に電動リールでやっているだろう。
 
 とにかくニジマスはヒットした。そろいもそろって50a級ばかり。しかもよく肥えて美味そうだ。二隻分逢わせて尾だったが、ボリュームがある。わずか三時間だったのは、物足りなかったが、充実感はたっぷり。ピーター、マークもヤレヤレといった表情。「ただ、残念だったのはみなさんにフライフィッシングを楽しんでもらうことが出来なかったことだ」とピータ。

 「もしまた、今度来られるんだったら、必ず冬に来てほしいなぁ」とマーク。「なに言うとんや。二月は冬やないか」と言いかけて、私はここが南半球であることに気がついた。午前九時。夏の多様は早くも北の空(?)高く昇り、きつい日差しを投げかけた。                  
                                     (報知APG・高橋 康生)

筆者から一言:
 写真は、左から小西、鈴木、マーク、高橋、ピーター。フライフィッシングのとき、彼らのウエーダーを私が履いたのです。いかに私が(鈴木さんも)歩きにくかったかを、想像してみてください。