報知新聞・魚心/昭和60年3月11日
豪州の釣り人たち@
ヨシ(宇野元祥さん)
陽気なオーストラリア人は、お互いを名前だけで呼び合う。滞豪18年、オーストラリアの娘さんと結婚し、すっかり現地に慣れきっている宇野元祥さんは、だから通称「ヨシ」で通っている。
今年2月5日早朝、シンガポール経由でパース市の空港へ着いたとき、二人の紳士が出迎えてくれた。一人がヨシ、もう一人がステファンだった。ともに昨年の訪豪のとき、すっかりお世話になった人たちだが、今回の訪豪で、ヨシには特に面倒をかけてしまった。
宿泊、レンタカー、国内線の予約はもちろん、昨年度失敗した青イソメ、沖アミの持ち込みについても、キャンベラの検疫所に申請書を出してOKを取ってくれた。
これはうれしかった。現に、生命力の強い青イソメは、滞豪中どの釣り場でも元気だったし、食いのよい沖アミは、地元の人たちにグッと差をつけてくれた。
検疫の厳しいオーストラリアのこと、昨年は持参したエサを全部没収されたため、エサにはすっかり苦労してしまった。何しろ地元のエサといえば、肉や魚の切り身。得体の知れぬイソメや貝類の冷凍物があるだけ。ゴールドコーストで、やっと生きたゴカイにお目にかかれたが、それとて水ゴカイの一種ですぐベトベトになってしまった。
エサは釣り人にとって絶対に欠かせぬ要素だけに、今回の釣り旅行の成功は「エサの持ち込み」に追うところが多かったのは事実だ。
さて、ヨシ。愛妻キャシーとの間に、隆君という息子さんがいる。11歳。学校では一、二を争う優秀な成績だそうだ。
その昔、ヨシは交換教師として、岐阜県からパースへやってきた。教え子のキャシーと恋愛、そして結婚。
教師を離れて何か仕事をと考えた。もともとヨシは大の釣り好きだった。ひょんなことから話が出て、本気で釣り具の貿易をやってみようと思い立った。
幸い日本は、釣りの分野では「先進国」。日本の釣り具を輸入して、地元の釣具店に卸す。−−これは見事に成功した。宇野貿易会社は順風満帆。
とはいっても規模はそんなに大きくはない。仕事もほとんどヨシ一人で処理している。釣り好きのヨシのことだ。話が弾めば何時間でも釣具店に座り込む。新しい釣り具が入れば、積極的に釣り場に出向いて性能を試す。
日本から輸入する釣り具の中で、今、もっとも人気のある物は「サビキ」だそうだ。
オーストラリアは休日が多い。人々は暇をもてあましている。男も女も、大人も子供も、気軽に突堤や岸壁でアジやコノシロ釣りに打ち興ずる。それには、サビキはなんと手軽で能率的な仕掛けだろう、というわけだ。
釣り具だけでなく、車やカメラや電気製品なども、日本製は賞賛の的だ。
(報知APG・高橋 康生)
筆者からひと言:
左から、週刊釣りサンデー小西社長、
真ん中が、宇野元祥さん、私。
オーストラリア人は概してビール党が多い。