報知新聞・魚心/昭和58年3月26日
ヒントを得たらすぐ実行:名人に学ぶ
連休の21日、サブマリンの考案者として有名な山元八郎さんは、一行7人で愛媛県武者泊を目指した。ここは地寄りの磯を中心に、最近グレがよく釣れているところだ。
幸い山元さんたちは、抽選に勝って「沖ススキ」へ並ぶことが出来た。このところ最高のポイントだ。
結果から言って、山元さんはこの日、30〜40aのグレをちょうど20尾釣っている。ところが同行の人は、いい人で4,5尾、中にはボウズの人もあった。どんな理由でこれだけの差ができるのだろうか。翌朝、山元さんが魚を見せに来てくれたとき、私は彼に質問してみた。
「いろいろやってみたんやけど」と彼は首をかしげた。「やっぱり、サブマリンを3個付けたのが良かったように思う」という。
その日、天気は良かったがウネリが高かった。沖ススキからの払い出しは、エサの流れに反してあらぬ方向へウキを流してしまう。−−つまり、マキエサと刺しエサがどうしても合わないのだ。
山元さんは、ありとあらゆる方法で、この不合理と闘った。ウキ下やハリスはしょっちゅう変えた。オモリの重さや位置も考えてみた。ウキを打ち込む場所や、マキエサの場所も−−。とにかく、この人は釣り始めたら、釣れるまで同じことはしない。
そのうち、ふと思い当たった。「そや、サブマリンを大きくしてみたら?−−」。 だが、サブマリンは大きさが決まっている。だから、数をふやして3個にしてみたのだ。
これが図に当たった。刺しエサは完全にマキエサの煙幕の中に入った。入れ食いが始まった。そこにグレはいたのだ。同行の人にも勧めてあげたが、そんなにたくさんサブマリンを持っているわけがない。中には持っていない人さえも。
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かって「水平思考」という言葉がはやった。従来のしきたりや思考を一切無にして、自分なりの考えを実行に移した場合、素晴らしい成果を上げることがある。
釣りの世界でも過去にそんな実例は多い。例えば、リール。昔は右手巻きと、左手巻きに分かれていた。色々不便だったし、ギアーの消耗も早かったが、これが左右共用になるまでに10年ほどかかった。
昔は、一本に10個も付いていた投げサオのガイド数も、同じくらいかかってやっと現在の4個(または5個)になった。
磯サオについている「オモリ負荷」などという不可解な表示も、今は「適正ハリス」となった。
名人たちの水平思考は、今後もどんどん活用して欲しいものだ。
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「山元さん、しっかり頑張ってや」などと言いながら、クーラーの中のグレを一尾頂戴する、という私の水平思考などはどんなものだろうか。
(報知APG・高橋 康生)
筆者から一言:
「ひらめけば、則、実行」という山元さんのグレ釣り教本がありました。例えば、ウキ下を変えるという簡単なことにしても、なかなか出来ないものです。まして、オモリを変えたり、ハリスの太さを変えるに至っては、よほど手まめな人でないと出来ない相談です。でも、でも。食い渋るグレを釣るためには、それは絶対必要なのです。
口癖のように、「ひらめけば、則、実行」を唱えながらグレを釣って下さい。