報知新聞釣り欄「魚心」から:昭和56年1月11日
今年は”先手必勝”で
今年も多くの方から年賀状を頂いた。元日の昼間っから、とっておきのブランデーをチビリチビリとやりながら一枚ずつ目を通すのは楽しいものだ。特に、釣りに関する所感などが、織り込まれていると、思わずホオがゆるんでくる。
二、三ご紹介してみよう。
谷原公さん。この人は、もう齢(よわい)九十を出ているのではなかろうか。弁護士を引退されて以来、ずっと海部川の笹無谷のほとりでゆうゆう自適。それなりに、毎年の賀状には、自然の風物が浮き彫りにされている。
今年は俳句で、 「雲と水 行方伝えよ ホトトギス」 とあった。枯淡の域と言うべきだろう。
熊本市の古相時雄さんの賀状は、活字の間にギッシリ釣り情報や所感を書いて下さっていた。今年は、ハエのノーハウを教えて下さった。
「これからは、球磨川中流のダムの寒バエ釣りです。ウキ下4.5b以上のところで、大型ハエを釣る趣は格別です。オモリ7コ、二段ウキ仕掛け。
サオは、5.4メートル。エサはウドン(黄粉+カレー粉+白砂糖まぶし)です。このエサは5年ほど前から用いていますが、サナギ粉まぶしよりは、香りもよく、ハエの食いも上々です。」
この方も、70歳前後の高齢と伺っているが、なかなかお元気で研究熱心さにはいつものことながら頭が下がる。
最後に岩佐修さん。徳島県釣り連盟の名人位を持っているベテランだが、釣りのかたわらどうやらカラオケにも熱を入れているようだ。
「適当な歌の節で歌ってみて下さい。題して『釣り人生』です。」とあった。
♪場所変え エサ変え テグス変え、 だましてすかしてやってはみても、魚の心がわからない。
この次こそはと夢を見て、牟岐に日和佐に福村に、行くが男の釣りの道♪
ベテラン必ずしも釣れるとは限らない。釣れようが釣れまいが、夢と魚を追い続ける男のロマンが匂っているではないか。
年頭に、心に誓うことは多い。今年、私はもっと考える釣り。それは、少なくとも、魚より二手、三手先を読む練習をしてみようと思う。同じような調子で、この「魚心」も、2,3週間分の書溜めが出来るようになったらいいのだが。 (報知APG・高橋 康生)
筆者からひとこと: 昭和56年には49才でしかなかった私も、今は73才。でもまだ元気で、71才の妻と一緒に磯釣りを楽しんでいます。平成16年末には、中泊(愛媛県南宇和郡)の磯で、グレとアイゴを12尾釣ってきました。ただし妻は19尾で、かなりの差を付けられました。
ところで、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。この「魚心」は昭和70年まで続きます。 ご愛読下さい。