報知新聞釣り欄「魚心」から:昭和56年5月9日
一字違いで大違い
「NANAC」という釣りクラブが徳島にある。片山悦二さんをはじめ、ハエ、アマゴ、アユなどの名手の多い、ユニークな存在のクラブだ。「ナナック」と発音するこのクラブの名付け親はこの私。日清紡の社員が主たるメンバーだから、そのNをとり、「なんでもこなす」という意味に引っかけて「NANAC」となった。
ところで、毎年2月、徳島県釣連盟は定時総会を開いているが、その中に「優秀クラブの表彰」というくだりがあり、NANACもその栄えある表彰を受けることとなった。
県知事はじめ、広い会場に溢れんばかりの来賓や参加者のいる中で、司会者は次々と会の名前を読み上げて、いよいよNANACの番がやってきた。ところが緊張して聞き耳を立てている関係者の耳に入ったのは、奇妙キテレツ、全く聞き覚えのない名前だった。
「優秀団体、なあなあクラブ殿!」ここぞという盛り上がりの場面で、一同ズッコケてしまったわけだが、言葉というものは全くむずかしいものだ。
活字でも時々間違いが起こる。原稿には「松田さん」と書いたつもりが、活字になったのは「杉田さん」であったり、「古相さん」が「古桐さん」であったり。もちろん原稿の字が悪いのだが、こんな時はその人たちに本当にお気の毒で、恐縮してしまう。
この欄でも、いつか牟岐の磯の名前を紹介したとき、余りにも露骨なイソ名だったので、伏せ字を使って「オチャ○ポ」と書いておいた。それが新聞には「オチャロポ」となっていたのだ。ーーこれでは何のことだかさっぱりわからない。
傑作なのは、アユやアマゴで有名な、那賀川上流の「木頭村」。この名前を電話で言うときは、必ず「木の頭と書きますねン」と注釈を加える。これをどう間違えたのか「鬼頭村」と書いた新聞があった。アッと息をのんだ瞬間、「これでまだよかったのだ」と胸を撫で下ろしたものだ。ーーもし、間違えるに事欠いて「亀頭村」などと書かれた日には、私は木頭村の人に合わせる顔がないではないか。
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これはごく最近のことだ。特報を見て、息子がベソをかいていた。その前日は、天候が悪く、ネタが少なかったためか、アマゴを5尾しか釣らなかった息子の記事が不本意にも掲載されてしまった。息子の指摘した<状況>のところを読んでみると「同行の人も3尾。釣り忘れ気味」と書いてあった。ブツブツ言うのも無理はない。息子が電話で言ったのは、「釣り荒れ気味」だったのである。 (報知APG・高橋 康生)
筆者からひとこと: 釣り場の地名にはむずかしいのが多いです。たとえば、徳島の那賀川にある次の名前、果たして読めますか。
@十八女 A鷲敷 B丹生谷 答え:@さかり Aわじき Bにうだに