報知新聞釣り欄「魚心」から:昭和56年4月18 

八丈島(3)  夫婦仲良く8尾ずつ
 
八丈島での3日目。風邪とウネリはまだ尾を引いていたが、一応この日は関西からのすべての釣り客が八丈小島を目指した。私達の船は大入り満員。前夜、もろこやn主人からいろいろ釣り場のことを聞いていたが、果たして一級磯へ上がれるかどうかが疑わしいほどの混雑ぶりである。ここ6日間、釣りになっていないので、居残り組とダブったからだという。

 小島へ着くと、超一級の「一の根」をはじめ、めぼしい磯は、すでに別の船の先客が陣取っていた。
 船頭は、「割り込め!」というのだが、私達は遠慮して、最期まで船に残り、前日のセイズゴウに劣るとも勝らぬ(?)ような感じのワダへ上がった。やはりV字型になった湾の中で、更におそまつなことに、浅くて底のシモリが丸見えというところだ。
 それでも、前日のれいもあることだから、根気よくマキエをやって頑張っていたら、まさに予感は的中。これがまた前日とおなじ、計ったように50a前後の良型ばかり。それも大半は礒際でウキが引いた。しかもウキ下は2ヒロ。信じられないような浅場で、信じられないような大型のアタックがあるのだ。さすが八丈ならではの釣果といえた。

 この日は、前日と違って、のんびりグレ釣りを楽しんだ。時にはハリスを3号にしてみたり、時にはウキ下を1ヒロにしてみたり。
 それに周囲を眺めながら釣る余裕もあった。昭和41年の強制退去以来、置き去りにされたヤギたちが野生化している。その数、600頭とか。草に覆われたこじまの美しい山肌に、白く点在しているこのヤギの群れは詩情を添えるのに充分役立っている。また、小島の山のちょうど反対側には、富士山をミニチュア化したような八丈富士が美しい裾野を拡げている。

 こんな大自然の中で、30年前のグレ釣り再現が味わえることに私達は大満足。午後からはほとんど釣れなかったが、不思議に不満感は湧かなかった。
 結局この日も、グレの数は、仲良く4尾ずつ。民宿へ帰って、前日の分と合わせて16尾のグレを、二つの大型クーラーに収め、氷を詰めたら両方とも満タンになった。 

4日目は天気も良さそうだ。スタミナだってまだ残っている。だが、どうせ釣っても、もうクーラーには入らないし、オーバーチャージの問題もある。それに、八丈島まで来て、奇しくも夫婦で8尾ずつという縁起のいい数になっているのだ。欲を捨てて、最終日は、観光タクシーで、「八丈の休日」を楽しむことにした。
(この項続く)                 (報知APG・高橋 康生)

筆者からひとこと
: グレの刺身、あら炊きなどが旨かったのはもちろんですが、お腹いっぱいの卵(白身、黄身)の旨さは忘れることが出来ません。