報知新聞/平成元年4月7日(金)

続・どじヴェンチャー・ニュージーランド(4)

ファンガマタでの思わぬ出来事:町の薬屋さんでの大歓待(バースデイケーキまで)

 3月26日は、ワンツリーポイントで一泊。翌朝、同じ場所へ出かけた。釣り人はいっぱいいたが、条件が変わったのか、シマアジは姿を見せなかった。エサトリがやたらと多く、たまに掛かってくるのは、スプライト、アジ、小型のマダイばかり。午前中で諦めて、オークランドへ向かった。今年も旅程表や、レンタカーやらでいろいろお世話になったローリーさんと会って、夕食を共にした。

 翌27日は、今回のメインターゲットとも言えるファンガマタへ突っ走った。人口2000人あまり、港周辺にせいぜい2,30軒の商店が並んでいる程度の小さなリゾートだ。フト、同行の藤田さんが、カメラのバッテリーがだめになったというので、ドラッグストアへ入った。ドラッグストアといっても、カメラ、化粧品、雑貨、本などを並べたいわば、コンヴィニアント・ストアだ。店には主人が一人。バッテリーを買った。すると、主人が聞いた。
 「ときに、こんな田舎へ、なぜ日本から?」
 「釣りが好きでね。NZはこれで4回目なんですよ。去年は、ここへもも来たけど、今年は大物を釣りたくて」
 「日本人観光客といえば、たいていロトルア、タウポしか行かないのに、あなた方は珍しい。今夕、ぜひ私の家へ招待したいのだがーーー」と続けた。
 「ありがたいが、私は一人ではない。6人も仲間がいる。それに、初めての人にそんなことをしてもらうのは気の毒だから」と一応断ったが、ぜひにと言われて好意を受けた。

 午後5時半かっきり、彼はモテルへ私たちを迎えに来た。マツダのボンゴだった。全員を乗せて彼の自宅へ。彼の名は、クリス・マーティン。美しくて品のある奥さんはマーガレット。男の子(11)と女の子(8)がいた。子供たちは日本人と会うのが初めてだとか。
 300坪はあろうかという庭を案内してくれたあとは、ビールとコーヒーで歓待してくれた。子供たちは、絶えずケーキを勧めてくれる。
 話が釣りのこととなったとき、私はふと二日後に迫った私の誕生日に、一番ふさわしいものは「1メーター級のヒラマサ」だともらした。

突然の好意を受けて訪問したマーチン家の庭
                                     後列左から3人目がマーガレット、右端がクリス

 その誕生日当日、ファンガマタ沖での釣りはまたもや小物に終わってしまった。いや、本当はヒラマサが掛かったのだが、見事に全部バラしてしまって、傷心の思いでモテルへ帰った。
 部屋に入って驚いた。テーブルの上に、直径30aあまり、高さが15aもある豪華なケーキが乗っているではないか。
 トップには、白いクリームで「お誕生日おめでとう。ミスタ・タカハシ」。
 一生に何度もない感激。私は反射的にクリスのダイヤルを回した。
                   (報知APG・高橋 康生) 

これが涙の出るような贈り物。
                                           思いも掛けぬ58歳のバースデーケーキ