報知新聞釣り欄「魚心」から:昭和57年2月13 

豪華なカタログ
(商品の説明にカタカナ英語わんさ)


 釣具見本市で随分カタログをもらってしまった。毎年のことだが、ここ数年来の各メーカーのカタログの出来栄えは実にすばらしくなった。総合メーカーともなると、優に100nは超えている。印刷技術もすばらしい。自然の風景などもあちこちに取り入れられてあって、見ているだけで楽しいひとときを持つことが出来る。 

 だが、目につくのは英語の氾濫だ。善意に解釈すれば、これは釣具業界が国際的なものになりつつある証拠かも知れない。弦に各社の巻頭のキャッチフレーズは、毎年変わっているけれども、なかなか考え抜いたあとがうかがえる。

 技術畑のダイワは、”The future is perspective before us!"(われわれの前には、未来はお見通しです)。シマノも機械屋さんだけあって、"Tomorrow 's tackle Today"(明日の釣具を今日)というよく似たニュアンス。一方、オリムピックは、”It takes you dee into nature.”(釣りはあなたを自然の中へ深くお連れします)と私的な感覚で勝負しているし、リョウビは、”People, Nature and Fish−Ryobi takes care of all"(人と、自然と、魚。リョウビは、その全部に気を遣っています。)といささか哲楽的。」

 まあ、英語もこんな風に使われると、格調も高くスッキリとけ込むこともできるのだが、商品の説明に、カタカナ英語がふんだんに出てくるのはウンザリする。
 たとえば、リールの項。
 「ゲームフッシングのクオリティーを求めた専用メカニズム」とはいったいどんなリールだろうか。また、竿をいちいち「ロッド」などと書くのはどういう感覚だろうか。
 「グレ竿に求められるロッド能力をトータルに満たした最適ロッドです」
 釣り服のチョッキの項では「バッファローぷレイドのウールフラノをライニングしたもの。ヘビーなベストにウオマーマテリアルをミックス。セーターやシャツスタイルでのキャスティングには欠かせない」.。
 よく噛みしめてよんだら、判らないこともないが、もう少し日本語的にかけないものだろうか。まあ、今時はこういう表現が「ナウい」のであって、私がもはやオジンなのかも知れないが。

 それと、竿の名前がずいぶんと難しくなった。昔は、いろいろ覚えやすくて、親しみやすいものだったが、最近のはどうだ。「剛磯」「磯濤」とはどういう意味だろうか。「灘磯」「灘瀬」などは一度で覚えられるだろうか。なぜ「雪渓」が磯竿なのか。名前が出尽くしたのは、メーカーがむやみに登録しすぎたからだというが、釣り人にとって最も深い関係にある釣り竿の名前が次第にあじけなくなってゆくのは、何ともさびしいことだ。                    (報知APG・高橋 康生)


筆者からひとこと:あれから23年が経ちますが、見本市がある度に思います。「日本の釣りカタログの豪華さは世界一だ。」と。でも、相変わらず、英語の乱用と、竿の名称の味気なさとは、あまり変わっていません。それに「竿」は完全に「ロッド」に変わり、それどころか、「磯」が「ISO」に変わってしまったのは、全く意味のないことです